第17回
第17回全税共地域文化賞<CATA>の贈呈式が、4月23日帝国ホテル(千代田区)にて開催されました。 本年度は伝統芸能分野から八戸地方えんぶり連合協議会が受賞されました。
八戸地方えんぶり連合協議会(青森県八戸市)
エンブリは田を掻き均す農具エブリ(柄振・えぶり)の訛った語で、このエブリを象った鍬台やならし板などを手にした男性の太夫3〜5名が、歌い手と囃し方の楽に乗って稲の耕作のさまを模擬して踊り、踊りの合間には子供達による「松の舞」「えびす舞」「エンコエンコ」の踊りも演じられる東北地方に多い田植踊りの一類です。 新春に当たって豊作になるさまを模擬し、当年の豊穣の実現を祈るという農耕生産を社会生活の基幹としたわが国の伝統的な民俗行事で、古来の神事的性格を堅持しつつ多彩な音楽と野趣横溢の踊りは見るものを魅了します。 藩政時代には村単位で組織し、小正月に各組が村内の各戸を巡回し豊作と一家息災を予祝しましたが、明治維新後卑俗な風習とみなされ中断。しかし明治14年地元民の熱意により復活した後、新暦の2月17日から3日間に祭日を変更しました。全国的にも日本の農耕生産と農民生活の風俗を芸術的に表現した芸能と高く評価され、見学に訪れる人も増えています。 各地の民俗行事や芸能の多くが衰退・消滅するなか、保存伝承体制をいち早く整え、歴史の究明・記録の作成・後継者養成を始め地域との連携等の事業を進めつつえんぶりを素材としての新たな音楽、舞踊の創造作業にも手を貸す等、わが国民俗芸能の伝承のあり方の一つの模範を示すものとして、推奨されるものです。
−芸術活動分野−
「アプサンス」は現代社会の高齢化問題を内包した演劇作品で、演出家の大間知靖子が翻訳・演出、名女優の吉行和子が一人暮らしの老女の心の軌跡を絶妙な演技で魅せる、日本演劇界に足跡を残すことを予感させる公演です。 幅広い観客層に訴求すると同時に、地域社会の役割を認識させた公共ホールが制作するに相応しい作品に仕上げました。
2.プレイアード五重奏団(東京都練馬区)
1979年結成、作曲家との協同作業による新しい音楽分野の開拓を目指して、日本を代表する数多くの作曲家に新作を委嘱し初演してきました。 今年は結成から30年という節目を迎え、これまで初演した50作品の中から、後世日本の音楽史上に残すべき代表作品を厳選して演奏します。 今後は海外にも日本の優れた作曲家と作品を紹介し、後進のために新たな道を切り開くことを目的とした活動をしていきます。
仙台市が将来にわたり音楽芸術の創造者や地域の文化リーダーとなるべき人材を養成し、市の音楽文化の一層の振興及び発展を図ることを目的に、平成2年5月に仙台ジュニアオーケストラを設立しました。 設立当初から講師全員が仙台フィルハーモニー管弦楽団のメンバーであり、常時プロのオーケストラによる指導を受けられることが大きな特徴となっています。また音楽教育や情操教育の旗印を掲げることなく、純粋な音楽を目指していることも注目される点です。
桐朋学園大学音楽学部演奏学科を卒業した各人が、それぞれの経験を生かし新たな演奏創造を試みようという主旨のもと2006年3月に設立されました。 優れた邦人作曲家の創作活動を紹介し、その芸術や作品を日本各地に於いて普及させる活動の活性化を目的とします。 「蒔田尚昊・冬木透」という二つの名前を持つ作曲家を取り上げ、2007年9月に第1回公演を行い、各方面から高い評価を受けました。
1977年2月「吹奏楽を通しての地域の音楽文化の向上発展」を目的に設立されました。 地域住民に、吹奏楽の楽しさ及び素晴らしさをより鮮明にしたプログラムを提供し、草津市民音楽祭では24年間にわたり中核的役割を担い、その他各種地域事業にも積極的に参加するなど、地域に根ざした団体として活動をし、中学・高校では技術指導を行うなど人材育成にも力を入れています。
“パフォーマンス”を鍵概念にし、さまざまなジャンルの芸術家が新たな表現の可能性を探求するため、1984年から毎年フェスティバルを開催してきました。 近年では、地元実行委員も加わることで、活発な地域交流が図られるようになり、また国際的なフェスティバル間のネットワークも機能し始めるなど、国内外の実験的表現をめざす一拠点として重要な役割を担っています。 また、インスタレーションを中心とした国際交流美術展を同時開催し、参加国の独自性と普遍性を検証、創作の質を高めています。
北九州国際ビエンナーレ「移民」は今年2回目を迎え、門司港地区の歴史的構造物を再活用すること、地元の様々な分野の専門家と住民等とのコラボレーションを実施しワークショップ等のイベントを導入することなどで、地区の活性化に貢献しています。 また会場である門司港は、明治以来海外との交流の中心、交錯点であり、多くの日本人がここから海外へと向かった歴史を背景に、アートを通して「移民」を考えます
平成7年、南砺市で開催されているスキヤキ・ミーツ・ワールドワークショップ受講者である市民により誕生しました。 オリジナル曲発表やCD出版など自身の技量上達に精進し、スティールドラム発祥国でも聴けない楽曲を演奏するなど、新しい文化を創造・発信し、異文化交流を通じ国際理解の推進へつながる活動を継続しています。
歴史的な文脈を踏まえた上で、現行の歌舞伎にとらわれることなく新たな切り口から演目を上演しています。現代語に翻訳することなく、そこに現代的な読みを加え新しい演劇性を創造しようとする点で、他に類をみない演劇となっています。 今回は、有名な劇作を残しながら、歌舞伎批評ではその存在に注目されていなかった菅専助の作品から3作品を選び、2年がかりで上演していきます。
京極朋彦・富松悠によるダンス・ユニット。京都造形芸術大学卒業後、京都のみならず海外でも活動している高いレベルを持つコンテンポラリー・ダンサーです。 今回の作品はデュオとして初作品であり、奇を衒ったような企画に見えますが、今日における芸術的表現の可能性を追求しようとしていることが伺われ、また、地域の若い表現者ばかりでなく広く舞台芸術を愛好する人々にとり、生産的な刺激を与える作品に仕上げています。
演出家の桑折現を中心にダンサー・美術作家・建築家・映像作家・音楽家など多岐にわたる分野で活躍しているメンバーからなりたっているdotsは、これまで野外公演やホテルの一室でのパフォーマンスなど、劇場という枠にとらわれない、その地域と場所の特性を活かした公演を行ってきました。メディア技術を積極的に用いたユニークな空間演出を軸に、美術・映像・音・身体・言語といった多彩な要素を融合させたパフォーミング・アーツの可能性を切り拓き、先進的な表現活動の普及、地元の芸術文化の活性化と振興に繋がる活動をしています。
青森県内でNPOセクターの啓発に努め、行政とのパートナーシップ確立に向け様々な審議会でコーディネート役を務めている法人です。 独自の事業として子供向けのアートイベント、小学校の廃校を活用した「廃校プロジェクト」を展開、また青森県内の民俗芸能の豊富さとコミュニティ力に着目し、映像としての記録も残すほか、歌・踊り・お囃子などの伝承にも取組む活動をしています。
2004年、振付家の垣内友香里により結成、その後各賞を受賞するなどめざましい活躍をしているダンス・カンパニーです。 コンテンポラリーダンスのスタイルは、振付家やダンサーのテクニックや語法を活かして踊ることなく表現する、ダンスではなく綜合アーツのようなパフォーマンス・アーツだが、垣内氏の身体を取巻く状況を台詞やダンシングによって展開させてく、しつこいまでに身体であることを強調する作品づくりは高い評価を得ています。
柄本明・ベンガル・綾田俊樹により1976年に結成された。アナーキーな笑いを武器にした劇団として成長しました。 昨今芝居がかった芝居が多い中で、ありのままの「素」でいることを大切にすることは非常に難しく、芝居がからないことに対して真剣であることが、舞台をもう一つの現実として生かすことになります。 最近は国内外の作家の作品に取組むなど、ますます芝居の幅を拡げており、柄本明氏の演劇の力は若手劇団員にも確実に受け継がれています。
大蔵流狂言師の茂山童司と裏千家十六代家元の長男である詩人・千明史がユニットを組むchori/童司。 自ら脚本を書き演出を手掛けるスタイルや、choriが詩を朗読し童司が舞うというスタイルは非常に独創性に富み、芸術性が高い舞台となっています。 “伝統”を超えることを目的とし、目の前の文化をありのまま受入れるのではなく、本当に良いもの、受け継いでいくべきものを次世代に伝え継承していくための挑戦をしています。
東北地方の民俗研究者が集まり、毎年各県において合同研究会を実施しています。来年27回目を秋田県にて迎えますが、初めての現代的テーマを取り上げた研究会を予定しています。 東北は伝統芸能が数多く伝承されていますが、地域社会の変容、また現在ブームになっている“よさこい系ダンス”などによりかつてとは異なる面も見られるようになってきました。 こうした動きを地域社会との関わりで捉え直し、現代民俗としてどのように考えるかを語る合同研究会は非常に意義のあるものです。
大阪道頓堀中座を松竹から譲り受け、世界で唯一ともいえる破風の一部を再現し、緞帳を活用するため、平成13年に第1回まるおか子供歌舞伎が上演され、地元だけでなく全国から1,500人以上の人達が旗上げ公演に参集するという大規模な公演となりました。 衣装、小道具、大道具すべてが本物であり、また本物の舞台だからこそ味わいも深く感動も大きい。初上演以降、中断することなく来年は第10回記念を迎えます。 日本伝統芸能の教育に役立てるとともに、城下町丸岡にふさわしい特色のある文化を育むことを目指しています。
−伝統工芸技術分野−
掛け軸、日本刀等の美術工芸品を保管する桐箱を作る職人が減少している中、50年間桐箱作り一筋に精進してきました。 人間国宝である刀匠の宮入行平氏や、著名な日本画家の作品を収める桐箱及び共箱の制作にも技術を発揮するなど、その実力には定評があり大勢の方々から支持されています。 近年「信州名匠会」の中では、多くの若手木工家へのアドバイスや後継者育成にも積極的に力を注いでいます。
土佐備長炭は、紀州備長炭とともに1,000年以上の伝統的技術による森林・木炭文化の工芸品です。 和歌山県では木炭行政に独自の予算を持ち、文化と技術の保存・普及、研修の活動をしていますが、高知県ではそれが困難なため、杉本氏はじめ関係者の努力と私費により資料館を開設しました。またこの資料館は生産現場の窯場と直結しており、炭焼き体験などの学習が一体的にできるなどの特徴をもっています。 高知県独自の特徴ある地域の炭文化資料館として、さらに拡張・充実を目指し専業製炭の傍ら努力しています。
−人材養成事業分野−
全国各地の公立文化施設は、市民に優れた舞台芸術の鑑賞機会を提供すると共に、市民の芸術文化活動への支援など文化性豊かな地域社会づくりをめざした活動を行っています。各施設に専門的知識を有する職員を配置するため、舞台芸術などの専門的事項を研究・学習し、地域文化振興に重要な役割を担う人材の養成を目的とした研修会などを行っています。