2002年 C−times No.13

C  A  T  A

第10回全税共地域文化賞

於:ホテルパシフィック東京

平成14年4月22日

伝統工芸技術分野
日本伝統織物保存研究会(京都府京都市)

タ ツ    ム ラ    コ ウ   ホ ウ 
龍 村 光 峯

(1946年二代龍村平蔵三男として生)

   

織物と装置の総合的復元


◆復元裂
この裂は幡(ばん)の一部であり、緯錦と呼ばれているものである。
錦とは、色々な彩糸を用いて紋様を表した織物の総称。
帛(きぬ)の価が金と等しい字義から来たとも言われている。

〈緑地花鳥獣文錦〉

 

〈彩綾孔雀文〉

嵐の後、爽やかな風が吹き、雨上がりの澄んだ青空に光を浴びて虹色に輝きながら舞い落ちてくるものは、あたかも孔雀の羽のようだ。
古代中国から現れた吉祥の印は青銅器の断片であった。力強い龍の略形の文様を眺めながら、幻のように浮かんだイメージを織出した。(光峯作品)
 
正倉院裂(聖武天皇一周忌に使用された幡の止め飾りの裂)。デザインが非常に精緻で高度であり、
格調高い配色となっている。
京都・東京両国立博物館所蔵。

〈馬 せん 錦〉

中国古代の建築用材の一つに「せん」と呼ばれるものがあり、これは粘土を平板状に焼き造ったものである。本品はこれら漢代の逸品の中で、天高く嘶く馬が、鳳凰と共に飛び出さんとするような瑞々しさで線刻されている様を、錦上に金糸金箔を駆使して織出さんとしたものである。(光峯作品)

 

〈赤地花菱襷状鳥花文錦〉

神護寺一切経帙の縁裂に使われていた裂地。
久安5年(1149)4月23日の墨書が残されている平安時代後期の錦織である。
現在、京都国立博物館に保存されている。
◆「機」は機械の原点
古代中国を含む二千年以上に渡り、最高の織物を織り出してきた「空引機」を
はじめとする「高機」の歴史的変遷や発達は未知の分野であり、
織物史上の研究の空白となっている。
また、「機」とは文字通り「機械」というものがそこから生まれた起源である。
 

木製だけに遺物がなく、参考となる文献も無いため歴史が不明。正倉院裂などの織物の方から推測して復元した。
50種類以上の材木を使う「適材適所」の極致。
各部分が「機能」を持ち、機能が「分化」していることから「機械」の原点であると考えられる。
また「空引機」に鳥居がのせられていた事から、古代日本人は一種の神器であると考えていたことが推察される。

〈たたり〉

当時使用の絹糸は繊細で、現在の糸繰り機では繰れないが、この「たたり」はソフトにリズミカルに繰ることができ、やわらかな風合いを出す。
伊勢神宮の御神宝の中にも同じ形のものが存在する。

〈高機(復元)〉

〈五更〉

経糸を巻き取る道具。
一更が約二時間を表し、織っていく作業工程が「五更」に伝達され、二時間経つと一更分が回転する。往時の職人は、作業そのもので時を計った。

龍 村 光 峯 作 品 集

〈天平の風韻〉

正倉院北倉にある著名な一連の夾纈(きょうけち)及び昴(ろうけち)染めの屏風を元に、彩りを四季の音色に調えた作品。群羊の指導者である王羊の堂々たる姿は、真に雄大な唐王朝の気風を現している。

〈和 の 集〉

〈白 砂 青 松〉

シルクロードは文明の十字路であり、咲誇る文化交流の精華である。豊かな自然の恵み、集う鳥達は明日への希望の使者。その包み込む
ような、和(あたたか)く清らかで円な調べは、人類と自然との調和と諸民族の平和共存への想いを奏でる。
白砂青松とは、文字通り白い砂と青い松のある、我国の浜辺の美しさを現す典型的な表現である。開発や近代化の荒波にさらわれ、今は想い出の中の光景に、愛惜の念が彩りを添える。
 

〈宇宙の珠〉

『宇宙のことをコスモスという。コスモスとは秩序のことである。我々が知る限りの惑星のイメージは、むしろ索漠として無秩序な砂漠のようであったり、あるいは、巨大なガスの渦巻く渾沌とした世界である。秩序と無秩序が交錯するこの宇宙の危うく絶妙な均衡の中に、奇跡のように存在するわが地球、広大無辺な宇宙の中に、このような星が他にも存在するとすれば、それは、宇宙の珠玉であろう』〈光峯著〉


(有)光 峯
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